インド二輪市場、2031年に387億ドル規模へ──収入が上がっても二輪が選ばれ続けるワケ
インド在住のインドビジネス専門家、株式会社hoppin CEO・滝沢頼子が、インドの最新ニュースをピックアップし、現地ならではの視点で解説します。ニュースの概要に続き、専門家コメントをお届けします。
インドの二輪市場が力強い成長を続けている。市場規模は2025年の288億ドルから2026年には303億ドルへと拡大し、2031年には387億ドルに達すると予測されている。都市部の渋滞環境との親和性の高さや、スクーターの電動化への適合性が成長を下支えしている。

その背景にあるのがインド都市部の深刻な交通渋滞だ。バンガロールでは10kmを移動するのに30分かかるというデータがあり、急速な都市化に対してモビリティインフラの整備が追いついていない。インド全体では毎分90台以上の車両が新規登録されており、そのうち88%以上が自家用車か二輪という構成だ。
こうした環境の中でスクーターは年率6.05%で成長しており、自動変速機の採用と渋滞での使いやすさが都市部での需要を押し上げている。バイク(またがって乗るタイプの二輪)が全体の74%のシェアを持ちながらも、スクーターが最も速く伸びているセグメントとなっている。
専門家コメント(hoppin 滝沢頼子)
インドに住んでいると、二輪が街の主役であることを毎日実感する。朝の通勤時間帯、車の列が動かない中をスクーターが颯爽と縫って進んでいく光景は日常そのものだ。
インドでは所得水準が上がれば「いずれ四輪にシフトする」という見方をされることが多い。
しかし現地の感覚では、それほど単純な話ではない。車を持っている人でも、日常の短距離移動では二輪を使い続けているケースが珍しくない。渋滞では二輪の方が圧倒的に速く、駐車場探しのストレスもない。コストも車より大幅に安い。これだけの理由が揃っていれば、収入が増えても二輪をやめる合理的な理由がないのだ。
二輪市場の成長が続いているのは、単に「まだ四輪を買えない人が多い」だけではなく、「都市で賢く移動するための合理的な選択として二輪が定着している」からだと私は見ている。
日系のモビリティ企業がインド市場を考える上で、この視点は重要なはずだ。
- 執筆者プロフィール -
滝沢頼子/株式会社hoppin
東京大学卒業後、UXコンサルタントとして株式会社ビービットに入社。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社、東京のEdtech系スタートアップを経て、2019年に株式会社hoppinを起業。UXコンサルティング、インドと中国の市場リサーチや視察ツアーなどを実施。2022年よりインド在住。








