インド渡航前に知っておくべき現地の英語事情と、攻略方法

本記事は以下のような人にお勧めです。

・「インド出張があるけれど、英語でのコミュニケーションに不安がある」

・「インド駐在が決まったけれど、現地ではどの程度の英語力が必要かわからなくて不安」

海外留学経験がありながら、インドでの勤務初日に英語での業務に挫折しかけた筆者が、現地でのコミュニケーション攻略方法を以下3つに分けて、経験談を交えてお伝えしていきます。

・現地の英語事情とは?
・「インド英語」とは具体的にどんなものか?
・インドで英語を話す際に抑えるべきポイント

現地の英語事情とは?

英語は準公用語

インドで英語は準公用語とされており、2022年には人口の約19%(約2億6,500万人)の人々が英語を使用しているという統計データが発表されています。

英語話者の割合だけを見ると、少ない印象を受ける方もいるかもしれません。

ただ、多くの場合、日本人が仕事でコミュニケーションをとることが多い相手(≒オフィスワークをしているホワイトカラーのインド人)は、英語を話せることが多い印象です。

そのため、筆者の経験上、「ビジネス現場でコミュニケーションをとる」ということに限定すれば、英語だけでも問題ないと思います。

一方で、日常生活を送る際には「英語を話せない人もいる」ということを頭に入れて行動することが大切です。言葉が通じないという小さなストレスは、日々積み重なっていくと想像以上に大変なものです。そこで、事前に知っておいて頂きたいのが、州で使われている主要言語です。

 

主要言語は州によって異なる

インドには非常に多くの言語が存在しており、その数は方言を含めると1600を超えます。そのうち、インド憲法では22の言語が「指定言語」とされています。

話者数が一番多いのはヒンディー語で、その人口のほとんどは北インドに集中しています。

州によっては、ヒンディー語ではなく別の言語が主要言語になる場合もありますので、事前に調べておくのが良さそうです。

実際に筆者がインド国内でグジャラート州に出張した際に、簡単なヒンディー語で街の人に話しかけたところ首をかしげられて、言葉が通じなかったこともあります。州が変わると国が変わるように使う言語も変わるというのがインドの面白いところです。

オフィスワークにおいては英語のみで問題ないことがほとんどです。だた、現地の人と信頼関係を築くためにも、自分自身が少しでも楽に生活を送るためにも、現地で使われている主要言語に触れるということは、渡航前の重要な準備になるかもしれません。

 

 

  

「インド英語」とは具体的にどんなものか?

次に「ビジネスシーンでの英語」について考えてみましょう。

インドにおいては、インド独特の英語表現が存在していたり、日本人には馴染みが薄い、訛りの強いいわゆる「インド英語」が話されています。

 

具体的に「インド英語」の特徴をいくつか紹介していきます。

 

①ネイティブ英語には無い英語表現がある

例えば、名前を聞く際に使う “What is your good name?”

「ご対応よろしくお願いします」というような意味で使われる、”Please do the needful.”

延期を意味する”postpone”から発想したと思われる、前倒しを意味する “prepone” という単語など。

これ以外にも、ユニークな英語表現が多数存在します。

②「r」の音を強く発音する傾向にある

「Park」を「パルク」と発音したりします。「r」をはっきり発音する傾向にあるため、最初は聞き取るのが難しいかもしれません。

これ以外にも「th」を「タ行/ダ行」で発音するなど特徴があります。

③独自の数字の単位表現がある

10万をLakh(ラク)、1,000万をCrore(クロール)、と表現することが多いです。

例えば、車の価格が「7 Lakh ルピー」の場合、それは70万ルピーを表しています。
また、あるプロジェクトの予算が「20 Croreルピー」だった場合、それは2億ルピーを意味します。

こちらの記事で紹介済

 

 

 

インドで英語を話す際に抑えるべきポイント

「インド英語」の具体的な特徴を踏まえつつ、以下2つのポイントを意識してコミュニケーションすることで、現地での仕事・生活をよりスムーズにこなしていくことができると思います。

①まずは、新しい言語として受け入れる

これまで聞いたことのある「アメリカ英語」に当てはめて、コミュニケーションしようとすると、苦労すると思います。

筆者はインド勤務以前に海外勤務経験はありませんでしたが、留学経験があり、英語にはそれなりに自信がありました。しかし、勤務初日にオフィスで現地メンバーと会話をしたところ、会話の半分程度しか理解ができず混乱しました。

自分の英語力の問題だと感じ、落ち込みましたが一週間程度経ってから聞き取れない原因は、英語力ではなく、自分の耳にあることに気がつきました。

まずは抵抗せずに、「自分の知っている英語とは別の言語だ」という気持ちで受け入れてみてください。

 

②空気を読まず、会話に切り込んでいく

インドで生活するとまず驚くのが、インド人の止まらないトークです。インド人は話好きで、一度話し始めると、止まりません。街で歩いていても、大きな話し声があちらこちらから聞こえてくると思います。自分の主張を話すことが好きな方が多く、国民性といってもいいかもしれません。

一方で日本人は、「空気を読んで」話が終わるまで待つ人が多いと思います。しかし、インドにおいては「空気を読まず、会話に切り込んでいく」ということを実践していただきたいです。

単純に話を遮るというわけではなく、発言したいと思ったときや意見があったとき、思い切って口を開くということが大切です。最初は緊張しますが、相手は自分が思っている以上に気にしていません。日本とは異なり、インドではそれが「非常識」と捉えられることは少ないと感じます。むしろ発言しない方が、「意見のない人」と見られてしまうようです。

 

 

インドでの英語は、日本で慣れ親しんだ英語とは少し違う「新しい言語」だと考えると、ぐっと気が楽になります。
大切なのは完璧な英語よりも、相手と向き合う姿勢と積極的なコミュニケーション。
ちょっとした心構えひとつで、インドでの仕事も生活も、もっと楽しく前向きに進められるはずです。

staff K

- 執筆者プロフィール -

編集スタッフK

大学卒業後、大手IT企業に勤めたのち、2019年に在インド日系人材紹介会社へ転職。主に製造業を担当し、現地日系企業の組織拡大のための採用サポートに従事。インド在住時は各地のマラソン大会に出走。その後結婚、転職、出産を経て現在は若者向けの海外越境支援サポートをするベンチャー企業に勤務。二児の母。

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