【解説記事】インドEV市場に新顔続々──テスラ、VinFast、マルチ・スズキが参入した2025〜26年上半期
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2025〜26年にかけて、インドの四輪EV市場にグローバルブランドが相次いで参入している。
テスラは2025年7月にModel Yでインド市場に初上陸。
価格は598.9〜678.9万ルピー(約1,080〜1,230万円)と、輸入関税の影響で高額になっている。販売実績を見ると、FY2026(2025年4月〜2026年3月)を通じて合計342台にとどまり、苦戦が続いている。値引き施策も講じたが、インド市場での存在感はいまだ限定的だ。
(参考記事1、参考記事2)
VinFast(ベトナム)は2025年9月にVF6・VF7の2モデルをタミル・ナードゥ州工場で現地生産・販売開始。そして2026年4月15日には、7人乗り電動MPV「VF MPV 7」(個人向け)と「Limo Green」(フリート向け)を同時発売する予定だ。
VF MPV 7は60.13kWhバッテリーで航続距離450kmを謳い、価格は199〜239万ルピー(約360〜430万円)の見通し。さらにVinFastの親会社Vingroupが運営する電動ライドシェアサービス「GSM(Green and Smart Mobility)」も、Limo Greenを活用してインドで展開を始める計画だ。
(参考記事1、参考記事2 )
マルチ・スズキは2025年末から「e VITARA」の登録を開始し、インド初のEVを市場に投入。さらに今後はトヨタも同プラットフォームを使った「アーバン クルーザー e-Bella」を4月に発売予定で、日系メーカーもいよいよ本格参戦の様相を呈してきた。
(参考記事)
専門家コメント(hoppin 滝沢頼子)
2025年のインドEV市場(四輪)は「Tata・MG・Mahindraの三強で全体の約9割」という寡占状態が続いていた。しかしこの2025〜26年の新規参入ラッシュを見ると、その構図が変わりつつあることがわかる。
テスラの苦戦は象徴的だ。FY2026で342台という数字は、同期間にインドで約20万台の四輪EVが売れた中では微々たる存在感でしかない。「テスラブランド」だけではインドでは売れない。
高い輸入関税、限られたサービスネットワーク、インドの道路事情に合わない車高──これらはインドで外資系EVが直面する現実の壁だ。
対照的に注目したいのがVinFastだ。現地生産、フリートとリテールの両輪戦略、さらに自社ライドシェアサービスとの連携という、インドに根ざしたビジネスモデルを組み立てようとしている。台数ではまだ小さいが、「インドに合わせて戦略を作る」という姿勢は、インドビジネスで成功するための本質をついている。
マルチ・スズキ(スズキ)の参入は、日系メーカーとして特に注目に値する。「e VITARA」はトヨタとの共同開発モデルで、現地生産・現地価格帯という点でテスラとは真逆のアプローチだ。インドのEV市場でいよいよ日系が本腰を入れ始めたと言えるが、Tata・MG・Mahindraがすでに市場を固めている中でどこまで食い込めるか、今後の販売推移が注目される。
- 執筆者プロフィール -
滝沢頼子/株式会社hoppin
東京大学卒業後、UXコンサルタントとして株式会社ビービットに入社。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社、東京のEdtech系スタートアップを経て、2019年に株式会社hoppinを起業。UXコンサルティング、インドと中国の市場リサーチや視察ツアーなどを実施。2022年よりインド在住。








