インドのクイックコマースと小規模店舗は共存できるか──便利さ急拡大の裏側

インド在住のインドビジネス専門家、株式会社hoppin CEO・滝沢頼子が、インドの最新ニュースをピックアップし、現地ならではの視点で解説します。ニュースの概要に続き、専門家コメントをお届けします。


クイックコマースとは、注文から配達までの時間を極限まで短縮した配送サービスのことだ。想像してみてほしい。必要な商品が、わずか10分で手元に届くという世界。インドではすでにこれが日常の一部になりつつある。

クイックコマース「Blinkit(ブリンキット)」アプリのトップ画面のスクリーンショット(筆者撮影)

クイックコマースの背後には、人口密集地域に「ダークストア」と呼ばれる倉庫が設置され、効率的な物流ネットワークが構築されている。そのため、たとえば水一本や急ぎで必要な日用品、生鮮食品も、注文後わずかな時間で届けられる。これによって消費者は時間を有効に使えるようになり、便利な生活が実現しているのだ。

あるダークストアの外観(写真:筆者撮影)

インドのクイックコマース市場が急拡大する一方、その「影」が街の個人商店(キラナ)を直撃し始めている。

PE(プライベートエクイティ)ファンドの資金を背景に急拡大するクイックコマース各社のダークストアが都市部の好立地物件を次々と押さえており、家賃が上昇している。
資金力に乏しいキラナ店が同じ立地で同じ家賃を払い続けることは難しく、長年その街で商売してきた個人商店が自分たちの「庭」から押し出されつつある。

規制を求める声も政治の場まで届いている。
インド全土に約3,000万店あるとされるキラナ店が廃業に追い込まれる可能性があるとして、全インド商人連盟(CAIT)事務局長でもある国会議員のPraveen Khandelwal氏は「クイックコマース企業は外国直接投資(FDI)規制や独占禁止法に違反している可能性がある」と指摘し、ダークストアではなくキラナを配送拠点として活用すべきだと主張している。

一方、クイックコマース市場の成長は衰える気配がない。インドのクイックコマース市場は2025年から2028年にかけて年率約46%で成長すると予測されており、Blinkitは都市部での収益化に近づいている。
しかし採算が取れているのはBlinkitのみで、他のプレイヤーは依然として赤字が続いている。

参考記事1参考記事2


専門家コメント(hoppin 滝沢頼子)

バンガロールやグルガオンで生活していると、Blinkitを毎日のように使っている。水もトイレットペーパーも野菜も、気づけばアプリで頼んでいる。それほどクイックコマースは都市生活に深く根付いている。
参考:便利すぎてやめられない?注文から10分で商品が届く、インドのクイックコマースの実情

クイックコマースで買った商品を受け取る(写真:筆者撮影)

だからこそ、このニュースは複雑な気持ちで読んだ。
キラナはインドの街の風景そのものだ。街角のいたるところにあり、生活必需品からちょっとしたお菓子まで何でも揃う。都市部に住んでいると、その存在が街の毛細血管のようにインフラとして機能していることを実感する。

ただ、これを「クイックコマース対キラナ」という単純な善悪の構図で捉えるのは違うように感じる。
クイックコマースが支持されている理由は明確で、「早くて安くて便利」だからだ。
つまり、消費者が自発的に選んでいる。規制によってその利便性を損なうことは、消費者にとってもマイナスだ。

むしろ注目したいのは、今回の記事で指摘されている「家賃の上昇」という問題だ。
ダークストアが好立地を占有することで、キラナだけでなく他の小規模店舗も立地を失っていく。これは都市の多様性が失われていくという、インドだけでなく世界の都市が直面している問題でもある。

クイックコマースの成長とキラナの生存が両立できる構造が生まれるのか、まだ答えは見えない。
今後も注視していきたい。
参考:こんなにすごい、インドの「クイックコマース」!日用品から救急車も「10分で届く」…負の側面あるも日本企業が学べること

【このニュース記事はAIを利用して書かれています】

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