電動二輪、インド都市部で急加速──ランニングコストが選択の決め手

インド在住のインドビジネス専門家、株式会社hoppin CEO・滝沢頼子が、インドの最新ニュースをピックアップし、現地ならではの視点で解説します。ニュースの概要に続き、専門家コメントをお届けします。


インドの都市部で電動二輪の普及が加速している。その背景には渋滞での高い機動性に加え、ガソリン車と比べたランニングコストの低さ、そしてスマートフォン連携などの機能進化がある。電気代はガソリン代より1kmあたりのコストが大幅に安く、部品点数が少ないため維持費も低く抑えられる。

FY2026(2025年4月〜2026年3月)の販売データもこの勢いを裏付けている。電動二輪の年間販売台数は140万台と前年比22%増を記録し、インド全体のEV市場の57%を占める最大セグメントとなった。

グラフ:hoppin作成

一方、普及のカギを握るのが充電インフラの整備だ。現在、多くの電動二輪ユーザーは自宅での充電を基本としているが、外出先での充電インフラの拡充が進めば、より広い層への普及が期待される。スマートフォンアプリによる充電状況のリモート確認や車両位置の把握といった機能も、都市部ユーザーへの訴求力を高めている。

参考記事12


専門家コメント(hoppin 滝沢頼子)

インドの道路を見ていると、数年前と比べてAtherやTVS iQube、Ola Electricといった電動スクーターを見かける機会が明らかに増えた。

売り出し中のOlaのスクーター(公式サイトより)

現地で電動二輪に乗っている知人に話を聞くと、選んだ理由として必ず出てくるのがランニングコストの低さだ。ガソリン代が上がり続ける中で、充電コストの安さは日々の家計に直結する話として非常にリアルに響いている。

一方で、充電環境についての話も興味深い。持ち家に住んでいる人は自宅に充電設備を設置しやすく、特に不便を感じていないケースが多い。

しかし賃貸住まいや集合住宅では充電設備の確保が難しい場合もあり、それが電動二輪への乗り換えをためらう理由になっているケースもあるようだ。インドでは賃貸比率が高い都市部の若年層こそ電動二輪の有力な顧客層であるだけに、この「自宅充電の壁」は普及加速の上で無視できない課題だと感じる。

電動二輪市場が本格的に伸びていくかどうかは、車両の価格競争力と並んで、充電インフラがどこまで日常生活に溶け込めるかにかかっているのではないだろうか。

hoppin

- 執筆者プロフィール -

滝沢頼子/株式会社hoppin

東京大学卒業後、UXコンサルタントとして株式会社ビービットに入社。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社、東京のEdtech系スタートアップを経て、2019年に株式会社hoppinを起業。UXコンサルティング、インドと中国の市場リサーチや視察ツアーなどを実施。2022年よりインド在住。

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