インド電動二輪、FY2025-26に140万台を達成──しかし日系3社合計はわずか4,746台
インド在住のインドビジネス専門家、株式会社hoppin CEO・滝沢頼子が、インドの最新ニュースをピックアップし、現地ならではの視点で解説します。ニュースの概要に続き、専門家コメントをお届けします。
インドの電動二輪市場がFY2025-26(2025年4月〜2026年3月)に過去最高の140万台(前年比22%増)を記録した。
インドのEV市場全体(FY2025-26・約245万台)の内訳を見ると、電動二輪が140万台で57%を占めてトップ、電動三輪(e-リキシャ等)が約80万台で35%、電動四輪が約20万台で8%という構成だ。

日本と異なり、インドのEV移行は高級な四輪からではなく、庶民の足である二輪・三輪から始まっているのが特徴で、電動二輪はその中核セグメントとして確固たる地位を築いている。
一方で、ホンダ・スズキ・ヤマハの日系3社の合計販売台数はわずか4,746台にとどまり、参入の遅れ、限定的な販売網、割高な価格が低迷の主因として指摘されている。
市場をリードするのは引き続きインド勢だ。TVSモーターが341,471台(前年比44%増)で初めて年間首位に立ち、Ola Electricから3年ぶりに王座を奪った。バジャジ・オートが2位、Ather Energyが3位と続き、上位はすべてインドメーカーが占めた。

日系メーカーの動向を個別に見ると、スズキが初の電動スクーターを18万8,000ルピー(約34万円)で発売したものの、インドの電動二輪の中でも高価格帯に位置する。ヤマハは2026年2月に電動スクーターEC-06を16万7,600ルピーで投入したが、販売はカルナータカ州・タミル・ナードゥ州・マハーラーシュトラ州の限定展開にとどまっている。
専門家コメント(hoppin 滝沢頼子)
以前の執筆したWEDGE Onlineの記事(【インド企業vs日系企業】電動二輪車市場・インドで起きていること、スズキが「世界戦略車」を販売するワケ)で「日系企業に勝機はあるのか」と問いかけた。FY2025-26の結果は、その問いへの厳しい答えの一つだと感じる。
ホンダ・スズキ・ヤマハ合計で4,746台。同じ期間にTVS1社だけで34万台以上を販売したことと比べると、その差は歴然としている。
ただ、これを「日系企業の敗北」と単純に結論づけるのは早計だ。
記事でも書いたように、インドの電動二輪市場はまだ全体の6%台の普及率であり、市場そのものがこれから本格的に拡大するフェーズに入る。日系メーカーが今つまずいている理由は「遅い参入」「高い価格」「限定的な販売網」であり、これらはいずれも時間とリソースをかければ改善できる要因だ。
問題は「改善する意志と速度があるか」だ。インド勢はすでにダークストア網のように都市部の密なネットワークと、低価格帯での量産体制を整えている。日系メーカーが得意とする「品質・耐久性・アフターサービス」という強みを価格と流通で補完できるかが、今後数年の勝負どころになるだろう。
- 執筆者プロフィール -
滝沢頼子/株式会社hoppin
東京大学卒業後、UXコンサルタントとして株式会社ビービットに入社。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社、東京のEdtech系スタートアップを経て、2019年に株式会社hoppinを起業。UXコンサルティング、インドと中国の市場リサーチや視察ツアーなどを実施。2022年よりインド在住。








